いやいや、またそんなこと言ってー
いつも稲田さん
「棚卸しは大切ですから毎月必ず実施してくださいね」
って言ってるじゃないですか。
いまでも棚卸しは重要ですかと聞かれると、
はい、とても重要ですので毎月、必ず行ってください!
と応えます。
ではなんで??
まずは棚卸しの目的から説明します。
月次で試算表を見ていることを想像してください。
損益計算書で売上の下に原価(売上原価)という項目があります。
売上総利益(粗利)は「売上-原価」で構成されていますよね。
この原価は皆さんが考える仕入額がそのまま反映されているわけではありません。
例えば、うまい棒(原価10円)を10個仕入れて1個100円で売ったとします。
(あくどいですね~)
うまい棒が全て売れた場合は
100円×10個(売上)-10円×10個(仕入)=900円
の利益となりますよね。
うまい棒が5個売れた場合は
100円×5個(売上)-10円×10個(仕入)=400円
の利益であっているでしょうか?
うまい棒5個分の原価は50円ですので
100円×5個(売上)-10円×5個(仕入)=450円
の利益となります。
売れなかったうまい棒5個×10円は50円の棚卸資産となり在庫に計上されます。
企業活動をしていると毎月大量の商品仕入が発生します。(特に卸売業)
今月仕入れたものが今月全て売れたら在庫はなくて分かりやすいのです。
何か月も眠っている滞留在庫や、商品として売れなくなった不良在庫までも仕入として計上していたら、
棚卸資産として正確な利益を算出することができなくなります。
適正在庫を持つこと、適正仕入をすることで過剰な仕入を抑えられ、
販売の機会損失も抑えることができます。
それを見極めるための作業が棚卸しです。
ほら、棚卸し大切でしょ?
本日はこんな関与先様で起こった話です。
僕が関与する前は税理士から
「正確な棚卸しをすることで、正確な利益を把握できる」
(間違いじゃないです!)
と言われ、原材料と包材の棚卸しを月末に3日間もかけて行っていました。
お店の営業をやりながらですので、経営者も社員もスタッフも疲弊していました。
先日、新しく変わった税理士と棚卸し作業に関して打合せの議題に上げました。
現状は、
・包材は最小ロット(100枚入りのシールの枚数)までカウントしている
・封の空いた原材料は残りの量を目測で判断
・仕掛品は製品の3割で計上
・他多数
こりゃ大変だ。
まずは僕が
「包材は全体(売上、売上原価)に対して金額の割合が低いので、期首在庫+仕入-期末在庫で良くないですか?」
と提案したところ、関与先様は
「それでいいなら毎月棚卸しの時間が1日で済みます!」
と喜んでいました。
うんうん。
それから、税理士と電話で
「仕掛のルールはどうしましょうか?」
と相談すると
「うーん、原材料の棚卸しも毎月必要ですかね?」
と回答が。
???
「棚卸資産に関しては仕入額だけ入力した試算表上の利益と前年度の原価率から出した利益の差額である程度把握できます。」
「稲田さんが財務を見られているなら大きく原価は外れないと思いますよ。
それに本来の業務以外に社員の時間を割くのはもったいないじゃないですか。」
僕は毎月の棚卸しは在庫を持つ企業の絶対絶対必須の作業だと思ってます。
正確な利益の把握=棚卸し作業の実施は間違いありません。
ですが、この企業の今の全体最適は棚卸しの回数を減らすことで、
労務時間を減らし、営業活動に専念し、利益額を最大化させることでした。
先生、僕、学びましたよ!
その後、関与先様に
「という理由なんですが、棚卸し、やりますか?
月末までまだ時間がありますので検討してください」
とお伝えしました。
きっと
「棚卸し、やめまーーーす!」
だろうな(笑)