銀行に提出する決算書の心得

銀行の評価を上げる決算書とは

決算書は「社長の通信簿」とも言われています。そこには一定期間の経営活動の全てが数字で表れています。銀行は3期分の決算書を見比べ、各勘定科目や収益項目の変動を分析し、融資を決める「格付」を行なっています。したがって、決算書の財務内容次第で、有利な条件で融資を受けられるかが決まります。

一方、税理士事務所の作成する決算書はその様な銀行からの見られ方、体裁まで考えられていないことがほとんどです。支払う税金を抑えるための節税対策ばかりに着目するのではなく、銀行の考え方を理解し味方に付けられる「銀行からの評価を上げる決算書」を作りましょう。

【銀行に提出する決算書】
これがあったら要注意

1

社長の貸付金

貸付金とは会社が誰かにお金を貸している状態を言います。概ね経営者に貸しているケースが多いのですが、企業が銀行からお金を借りる目的は事業活動であるはずですので、銀行からは嫌がられる科目です。

2

立替金

取引先や従業員が支払うべき金銭を会社が一時的に立替えている状態です。この金額が大きいケースがあります。立替金は一時的なものであり、即時解消しなければならないルールがあります。この科目が残っている=きちんと精算されていない、お金にルーズな会社という見方をされてしまう可能性があります。

3

未収入金

本来は主軸となる営業活動ではない特別な取引で生じた債権を未収入金で仕訳けます。売掛で入ったお金が回収できず、未収入金の扱いになることがあります。その際、売掛金と未収入金の区別は明確にしなければなりません。未収入金の翌年への持ち越しが繰り返され、年々大きくなっている場合は要注意です。

4

大きすぎる現金残高

決算書の貸借対照表にある現金の額と実際の額は合っていますか?
よくあるのは会社のお金と社長個人のお財布がきちんと区別されていないケースです。後で返せばいいやと思っているうちにそのままになってしまったり、領収書をなくしてしまうなどです。
正確に帳簿がつけられていないと思われてしまい、決算書の信頼性も損なわれてしまいます。

5

膨らんだ売掛金残高

年商や取引条件などから、考えられる売掛金の残高はおおよそ導き出すことができます。次の資金調達を心配し、安易に売上を過大に膨らませるのは違法であり危険です。架空計上のものですから、貸倒損失として処理することはできないと思われます。決算書上は特別損失の処理をしますが税務上は損金の額に算入できなさそうですね。

6

過大な在庫

仕入れたにもかかわらず、まだ売れていないものが在庫となります。仕入という経費の科目が、「棚卸資産」という資産の科目になり、その分費用が減るので利益が増えます。在庫は社内で簡単に管理できますので、実際に存在しない在庫を水増しする→仕入という経費が減る→利益が増えるのです。ただし、翌期にはこの在庫が期首棚卸高という項目で増え、売上原価が増えてしまうのでさらに在庫を水増しするという悪循環になってしまいます。

【銀行に提出する決算書】
銀行の評価を上げるために一緒に出す資料

No.01

【事業計画書】

事業計画書は、銀行や事業の協力者への説明の際に必要となるものであり、事業が本当に実現可能かどうかを認識させる目的があります。
銀行に企業の実態や業務内容、現在の経営状況がよく伝わってないケースは多いです。「経営理念」「経営方針」「経営計画」といった経営の方針を詳細に文書化した事業計画書の提出は非常に有効的です。

No.02

【資金繰り表】

会計上の収益と現金収入、会計上の費用と現金支出とが必ずしも一致しないという点から、資金繰り表は一定期間の現金収入、現金支出を予測し、資金ショートを引き起こさないように収支管理を行うための表です。資金繰り表では自社の現金収入と現金支払とのタイミングを事前に把握し、それを予定表として表にまとめ、事前に資金の手当てや対策を検討できるようになります。

No.03

【借入明細書】

借入明細書は借入の一覧表のことですが、
①他行の貸出利率を伝えて緊張感を持たせる
②すべての借り入れ状況を開示して、最適な調達方法を一緒に考えてもらう
という効果を狙います。銀行は一緒に事業を育てていくためのパートナーです。会社の支援者だと考え一緒に会社を良くしていきたいという想いで銀行と付き合いましょう。

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