働き方改革がすっかり浸透し
昨今では業種・職種を問わず
週休二日や定時終業が当たり前に
なってきたのではないでしょうか。
しかしながら、
国の意向に従い、働き方がすっかり
ホワイトになったところで
手放しに喜べないのもまた事実。
「白河の清きに魚も住みかねて
元の濁りの田沼恋しき」と言うように
(意味は調べてくださいね笑)
ブラックなのはさすがにまずいですが、
せめてグレーとか、清濁入り混じった
くらいがちょうど良いのではないか、と
僕は思ってしまいます。
大きな声では言えませんがね。
例えば、製造業や建設業の場合
納期が近くなると
「定時だから帰りましょう」などと
流暢なことは言っていられなくなります。
社員によっては、休日出勤や残業も厭わず、
「働けるだけ働いて家族を養いたい!」
という人もいるかもしれません。
もちろん働き方改革は国としての
ポジティブな変化なので、
基本的には賛成なのです。
実際に現場に落とし込んだ時に起こりうる
弊害については、細かく想定されて
ないのかもしれませんね。
まさに僕が顧問をしている建設会社も
働き方改革によって社員の就労時間が
減ったことによる弊害をダイレクトに
受けています。
それはどういうことかと言うと
職人さんが技術を習得する時間を
十分に取れないことだそう。
これまでは残業をしたり、休みの日も
現場に出たりして、業務の中で
どんどん技術を習得してきたところを
今は限られた時間の中で少しずつしか
技術を習得できないそう。
加えて、工期に関しても
ひと昔前のような突貫工事が
ほとんどないので
ゆるりとした工期の中で、ゆるりと職人が
働いているような印象だそうです。
それで変わらずにビジネスが
回ればいいのですが、そんなはずもなく、
残業代がない分、会社としての
人件費も減りました。
それと同時に売上も減っています。
ビジネスとしては縮小して
しまっているのですよ。
働き方改革によって会社としての
元気が失われるのであれば
本末転倒ですよね。
そんなわけで、その会社は、
「社員が働く時間を増やせないのならば
職人の単価を上げるしかない。
単価を上げるためには
職人の技術力を上げるしかない」という
結論に達し、人材に先行投資する方向で
今は舵を切っています。
具体的には、業務の時間内で
(時給が発生している時間の中で)
職人さんに向けた研修を実施し
技術を鍛錬させているそうです。
自社の研修所を用意し
練習に使う機材を購入する。
学びに集中できる環境を
整えるだけでも相当な投資ですが
勇気ある決断ですよね。
社長としては代々受け継がれてきた
高い技術力こそが会社の価値だと信じ、
そこはなんとしてでも
死守するところだと思っているのでしょう。
僕はこの決断は正しいと思いました。
会社を長期的な視点で考えているからこそ
できる投資です。
高い技術力を持っていれば、職人の単価は
間違いなく上がるでしょう。
制度は制度として最低限順じるけれど、
その中で「これだけは譲れない!」という
軸を持つことが大切なのではないでしょうか。